研究

イギリスや日本の社会は高齢化が進んでいます。この人口動態の変化に伴い、認知症の人も増えています。現在、認知症を予防または治療する有効な治療法はありません。そのため私たちは、どのような形で認知症の方のくらしやどのようなケアが必要なのかついて、注視しなければならないと考えています。

認知症に対する偏見や悪いイメージがまだ多く残っています。私たちは、こうした負のイメージに対処するために、一般の人々の態度や認識をどのように変えていくかを一緒に考えていかなければなりません。 

芸術は認知症の人々や高齢者の幸福、健康、認知機能に対処する効果的な方法であることが示されています。芸術はまた、認知症に関する根深い固定観念にも対抗することができます。このプロジェクトでは、私たちは、共創的な芸術が認知症の人々を非創造的で依存的な人間とみなす従来の見方にどのように対抗できるかに興味を持っています。また、共創芸術の様々な文化的理解とその実践についても調査しています。    

 

影響

私たちの研究は、認知症の影響を受けるすべての人々に関連するものです。私たちの研究は、認知症の生活体験の理解を深めることに貢献し、世間の認識や態度にポジティブな影響を与えていきたいと考えています。変化をもたらすことを目指している分野は以下の通りです。

  • 介護業界:私たちの研究成果により、認知症の人々を介護する人たちが、認知症の人々の自立と幸福をサポートするために、共創的な芸術が果たすポジティブな役割について、新たな理解を深めることができるようになります。

  • 医療・医療関係者:老年学、社会科学、医療人文学、哲学、芸術の分野から新しい考え方を提供していきます。

  • 認知症とともに生きる人々との芸術の実践という新たな分野を拡張し、発展させていきます。

  • 英国と日本の教育機関の学生は、教育を受け、研修プログラムを通じて認知症の人との共創的な仕事の実体験を積むことができます。

 

出版物

創造的健康芸術、健康、幸福のための全政党議会グループ、2017年 

サルカモほか、認知症初期における定期的な音楽活動の認知的、情緒的、社会的効果:無作為化比較試験、The Gerontologist、第54巻第4号、2014年8月、634~650ページ。https://doi.org/10.1093/geront/gnt100

H. Zeilig, J. West, V. Tischler, M. van der Byl Williams, S. Strohmaier,  共創性、幸福および行為主体性代理性: 認知症の人のための共創的芸術グループの事例分析、Journal of Aging Studies、2019年 


H. Zeilig, J. West, M. van der Byl Williams, 共創性:認知症の方との芸術活用の可能性、高齢化の質と高齢者の質、2018年 

レポート

日下菜穂子他、2020年、高齢者のための音楽ワークショップの検証.